46通知

46通知について調べてみました。

出光興産がガンマーリノレン酸生産の工業化に成功した1986年から遡ること15年前の1971年に、「食品」などの無承認無許可医薬品の指導取締りについて出されたのが、 「46通知」というものです。
昭和46年に出された「無承認無許可医薬品の指導取締りについて(厚生省薬務局長通知)」です。

通知が出された背景は、次のとおりです。
ノーベル賞科学者であるアメリカ人のライナス・ポーリング博士が取り組んだ「メガビタミンC研究」は、1970年(昭和45年)に『ビタミンCと感冒』、そして『癌とビタミンC』の二つの著作が発表されて世界的な大ブームを起こしました。
ちなみに、このビタミンCの多量取得は、治療効果はなく、有害であることが後に分かっています。

東京オリンピックを契機に食事が与える健康への影響やコンディションの作り方などを知り、その土壌ができていたところで昭和45年にビタミンCブームが巻き起こります。
今ではビタミンCの効能は知られていますが、当時は画期的な栄養素とばかりに持ち上げられ、巷にはビタミンC関連の健康食品が出回りました。
その際に、これを飲めばガンが治る、病気が改善されると明らかに怪しげな宣伝文句が使われていた背景があります。
臨床実験などでそのような効果は無いとなっても、売られ続け
それに患者が飛びつき、
値段も高騰する状況だったことから、
当時の厚生省は、「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」という通知を出します。
昭和46年に出されたことから「46通知」と呼ばれるようになります。
医薬品とみなされるべきものを「食品」として売り出している状況に関する注意喚起と「46通知の違反者は薬事法違反で摘発してほしい」ということが通達されました。

もし46通知が制定されなければ何が起こったかです。
当時よく見られたのが「ちゃんとした治療」を拒否するという動きです。
ガンに対しては抗ガン剤治療というものが行われ、それは今もあまり変わっていません。しかし当時は抗ガン剤に対する不信や値段の高さ、副作用の問題なのであまり好感をもたれておらず、そうしたものがビタミンCなどへ飛びつかせたと言われています。
このままでは医療の手当てを受けずに亡くなる人が増えてしまうという危機感もあったようです。
その前には薬事法で食品に健康の機能があることを宣伝するようなことを禁じていました。しかし、その時点では緩い部分があったためにそれを見直し、46通知が制定されます。
ただこれが制定された後も、いたちごっこのような状態が続き、紅茶キノコブームなどがこの後に発生し、46通知の基準と照らし合わせて摘発をしていくような状態に陥りながら、
宣伝の手法は、健康を謳うようなことはせず、芸能人を起用するという今のようなスタイルが確立されていきます。
厚生省の『46通知』により、薬事法における取り締まりのガイドラインとして、医薬品と食品の区分が明文化されたのです。

46通知において食品に表示することができないこととは、次のものです。
① 病気の治療又は予防を目的とする効能効果に関すること
・・・表現例として
「糖尿病、高血圧、動脈硬化の人に・・・」
「ガンがよくなる。」
「便秘が治る。」 など

② 身体の組織機能の一般的増強、増進を主たる目的とする効果効能に関すること
・・・表現例として
「疲労回復」
「体力増強」
「老化防止、若返り」
「新陳代謝を盛んにする。」
「解毒機能を高める。」
「病気に対する自然治癒力が増す」
「血液を浄化する」
「健胃 整腸」
「病中・病後に」
「美肌、美白」 など

食品が身体の特定部位、組織に作用することは考えられないため、部位の表現は、
   それだけで医薬品的な効果効能とみなされやすい。
「目、肌、皮膚、お腹、血液、細胞など」

③ 医薬品的な効能効果の暗示
・・・表現例として
・ 名称又はキャッチフレーズ「不老 長寿、百寿の精、漢方秘法、皇漢処方、和漢伝方等」
・ 含有成分の表示及び説明
・ 製法の説明
・ 起源、由来等の説明
・ 新聞、雑誌等の記事、医師、学者等の談話、学説、経験談などを引用又は掲載

の3つがあります。

2018年12月01日